2020 06.04
資格と研修
伐木のために取得すべき資格は?伐木等の業務に係る特別教育について解説
林業や建設業において伐木を実施する場合は、労働者は事前に国が定める特別教育を受講し、資格を取得しなければなりません。
また、2019年の法改正により2020年8月以降の作業については、伐木の担当者全員が新設された特別教育もしくは補講を受講し、修了する必要があります。
本記事では、伐木についての基本的な知識と資格取得のための概要について説明します。
伐木の作業を行う際には、以下の項目について理解し、資格を取得しましょう。
伐木とは樹木を切り倒すことを指します。読み方は「ばつぼく」です。
一般的には「伐採(ばっさい)」という用語が使われますが、法律に基づく作業資格に関する用語については「伐木」が使用されます。大意は「伐採」と変わりません。
伐木は林業や建設現場等において日常的に行われる作業です。しかし、厚生労働省の報告書によると、伐木作業中には多くの死亡事故が発生しています(林業における死亡事故の約6割)。
そのため、伐木の業務を行う場合は、事業者には労働者に「安全または衛生のための特別な教育」を実施しなければならないことが法律※で義務付けられています。
※労働安全衛生規則に基づき定められた安全衛生特別教育規程
伐木を実施するために受講が必要な「安全または衛生のための特別な教育」については、外部事業者が主催する講習に従業員を参加させることが一般的です。
この特別教育は正式名称を「伐木等の業務に係る特別教育」といいます。
伐木業務が必要な事業者は、対象の従業員を外部事業者の実施するこの特別教育を受講させ、修了の証しとして、修了証を発行してもらいます。
資格の更新は必要ありません。
(※チェーンソーを用いて行う伐木等の業務に従事する場合は、定期(おおむね5年ごと)に事業主による労働者の就業に当たって必要な安全衛生に関する知識等を付与するための教育が必要です)
ただし、本記事内で解説しているとおり、2019年の法改正により伐木についての特別教育内容が改正されたため、2020年8月以降に作業を実施する場合は、すべての労働者は新たに設置された特別教育を受講するか、補講を受講し、修了しなければなりません。
以前に講習を受けた従業員がいる場合も、注意しましょう。
「伐木等の業務に係る特別教育」の受講資格は特にありません。知識、経験に係わらず受講可能です。
ただし、「業」として就業するには満18歳以上である必要があります。
資格の取得のための学科・実技試験はありません。講習では、現場で災害に遭わないための知識を学びます。
「伐木等の業務に係る特別教育」の内容は以下のとおりです。
※以下は当社で実施している(小径木)のカリキュラムです
Ⅰ 伐木作業に関する知識
伐倒の方法、合図、退避の方法を学びます。
Ⅱ チェーンソーに関する知識
チェーンソーの種類 構造及び取扱い方法から点検、整備及び目立ての方法を学びます。
Ⅲ 振動障害及びその予防に関する知識
振動障害の原因、症状及び予防措置を学びます。
Ⅳ 関係法令
労働安全衛生法及び安全衛生規則を学びます。
Ⅴ 伐木の方法
胸高直径が七十センチメートル未満の立木の伐木の方法、かかり木でかかっている木の胸高直径が二十センチメートル未満であるものの処理方法を学びます。
Ⅵ チェーンソーの操作
機械を使った基本操作、応用操作を学びます。
Ⅶ チェーンソーの点検及び整備
機械を使った点検及び整備の方法、目立ての方法を学びます。
所要時間は13時間で、Ⅰ~Ⅳが学科、Ⅴ~Ⅶが実技でそれぞれ6時間ずつとなっています。
「伐木等の業務に係る特別教育」についての法律は、2019年に改正されました(施行は2020年8月から)。
以前は伐木の対象が大径木と小径木によって受講すべき講習が違っていた(以下参照)のですが、2019年の改正により統合され、科目が増えました。
伐木等の業務に係る特別教育(大径木) チェーンソーを用いる場合
胸高直径が70センチメートル以上の立木の伐木、胸高直径が20センチメートル以上でかつ、重心が著しく偏している立木の伐木、つりきりその他特殊な方法による伐木又はかかり木でかかつている木の胸高直径が20センチメートル以上であるものの処理の業務
伐木等の業務に係る特別教育(小径木)
労働者が、チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務を実施する場合
そのため、法改正および施工前に特別教育を受講しており、改正法施行後の2020年8月1日以降に伐木の作業を行う方は、新たに特別教育の一部(補講)を受講しなければなりません。
伐木等の業務に係る特別教育(大径木)の修了者
学科2時間 実技0.5時間
※チェーンソーに関する教育を受けていない場合はさらに学科4時間、実技4時間
伐木等の業務に係る特別教育(小径木)修了者
学科2時間 実技3時間
これまで伐木に関する特別教育を受講していない方で、2020年7月31日までに作業を実施する必要のある方は統合前の区分けの特別教育を受講し、改正後の特別教育の補講も併せて受講しておきましょう。
伐木の作業を実施予定がある場合は、2019年の法改正と2020年の施行スケジュールに合わせて適切な特別教育を受講し、作業資格を得る必要があります。
・2020年7月までの作業が必要な場合は、改正前の特別教育を受講する必要あること
・2020年8月以降の作業の場合は、作業資格が無効になっていないか確認する必要があること
上記2点について確認し、特別教育もしくは講習を受講することで適切な資格の運用を行いましょう。
また、2019年の法改正により2020年8月以降の作業については、伐木の担当者全員が新設された特別教育もしくは補講を受講し、修了する必要があります。
本記事では、伐木についての基本的な知識と資格取得のための概要について説明します。
伐木の作業を行う際には、以下の項目について理解し、資格を取得しましょう。
「伐木」とは?
伐木とは樹木を切り倒すことを指します。読み方は「ばつぼく」です。
一般的には「伐採(ばっさい)」という用語が使われますが、法律に基づく作業資格に関する用語については「伐木」が使用されます。大意は「伐採」と変わりません。
伐木は林業や建設現場等において日常的に行われる作業です。しかし、厚生労働省の報告書によると、伐木作業中には多くの死亡事故が発生しています(林業における死亡事故の約6割)。
そのため、伐木の業務を行う場合は、事業者には労働者に「安全または衛生のための特別な教育」を実施しなければならないことが法律※で義務付けられています。
※労働安全衛生規則に基づき定められた安全衛生特別教育規程
伐木業務のために必要な資格
伐木を実施するために受講が必要な「安全または衛生のための特別な教育」については、外部事業者が主催する講習に従業員を参加させることが一般的です。
この特別教育は正式名称を「伐木等の業務に係る特別教育」といいます。
伐木業務が必要な事業者は、対象の従業員を外部事業者の実施するこの特別教育を受講させ、修了の証しとして、修了証を発行してもらいます。
資格の更新は必要ありません。
(※チェーンソーを用いて行う伐木等の業務に従事する場合は、定期(おおむね5年ごと)に事業主による労働者の就業に当たって必要な安全衛生に関する知識等を付与するための教育が必要です)
ただし、本記事内で解説しているとおり、2019年の法改正により伐木についての特別教育内容が改正されたため、2020年8月以降に作業を実施する場合は、すべての労働者は新たに設置された特別教育を受講するか、補講を受講し、修了しなければなりません。
以前に講習を受けた従業員がいる場合も、注意しましょう。
「伐木等の業務に係る特別教育」の受講資格
「伐木等の業務に係る特別教育」の受講資格は特にありません。知識、経験に係わらず受講可能です。
ただし、「業」として就業するには満18歳以上である必要があります。
資格の取得のための学科・実技試験はありません。講習では、現場で災害に遭わないための知識を学びます。
「伐木等の業務に係る特別教育」の内容は?
「伐木等の業務に係る特別教育」の内容は以下のとおりです。
※以下は当社で実施している(小径木)のカリキュラムです
Ⅰ 伐木作業に関する知識
伐倒の方法、合図、退避の方法を学びます。
Ⅱ チェーンソーに関する知識
チェーンソーの種類 構造及び取扱い方法から点検、整備及び目立ての方法を学びます。
Ⅲ 振動障害及びその予防に関する知識
振動障害の原因、症状及び予防措置を学びます。
Ⅳ 関係法令
労働安全衛生法及び安全衛生規則を学びます。
Ⅴ 伐木の方法
胸高直径が七十センチメートル未満の立木の伐木の方法、かかり木でかかっている木の胸高直径が二十センチメートル未満であるものの処理方法を学びます。
Ⅵ チェーンソーの操作
機械を使った基本操作、応用操作を学びます。
Ⅶ チェーンソーの点検及び整備
機械を使った点検及び整備の方法、目立ての方法を学びます。
所要時間は13時間で、Ⅰ~Ⅳが学科、Ⅴ~Ⅶが実技でそれぞれ6時間ずつとなっています。
法改正前に伐木の資格を取っていた場合はどうする?
「伐木等の業務に係る特別教育」についての法律は、2019年に改正されました(施行は2020年8月から)。
以前は伐木の対象が大径木と小径木によって受講すべき講習が違っていた(以下参照)のですが、2019年の改正により統合され、科目が増えました。
【統合前の区分け】
伐木等の業務に係る特別教育(大径木) チェーンソーを用いる場合
胸高直径が70センチメートル以上の立木の伐木、胸高直径が20センチメートル以上でかつ、重心が著しく偏している立木の伐木、つりきりその他特殊な方法による伐木又はかかり木でかかつている木の胸高直径が20センチメートル以上であるものの処理の業務
伐木等の業務に係る特別教育(小径木)
労働者が、チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務を実施する場合
そのため、法改正および施工前に特別教育を受講しており、改正法施行後の2020年8月1日以降に伐木の作業を行う方は、新たに特別教育の一部(補講)を受講しなければなりません。
【補講が必要な項目】
伐木等の業務に係る特別教育(大径木)の修了者
学科2時間 実技0.5時間
※チェーンソーに関する教育を受けていない場合はさらに学科4時間、実技4時間
伐木等の業務に係る特別教育(小径木)修了者
学科2時間 実技3時間
これまで伐木に関する特別教育を受講していない方で、2020年7月31日までに作業を実施する必要のある方は統合前の区分けの特別教育を受講し、改正後の特別教育の補講も併せて受講しておきましょう。
「伐木」には実施予定に合わせた適切な資格取得を
伐木の作業を実施予定がある場合は、2019年の法改正と2020年の施行スケジュールに合わせて適切な特別教育を受講し、作業資格を得る必要があります。
・2020年7月までの作業が必要な場合は、改正前の特別教育を受講する必要あること
・2020年8月以降の作業の場合は、作業資格が無効になっていないか確認する必要があること
上記2点について確認し、特別教育もしくは講習を受講することで適切な資格の運用を行いましょう。
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チェーンソーを用いる伐木作業の業務に係る特別教育(直径70cm未満) チェーンソーを用いて行う胸高直径70㎝未満の立木の伐木、かかり木の処理又は、造材の業務
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チェーンソーを用いる伐木作業の業務に係る特別教育(補講) 既存のチェーンソーを用いた伐木特別教育修了者に対する、新規則対応のための補講