2020 06.04
ICT施工の基礎知識
i-Constructionとは?目指す未来が建設業を変える
「i-Construction(アイコンストラクション)」 は 国土交通省が推進する取り組みで、建設現場でのICTの全面的な活用を促すものです。
近年、「ICT施工」「ICT土工」など建設現場におけるICT活用に関わるキーワードが話題ですが、「i-Construction」はこれらとどう関係するのでしょうか。
本記事では、「i-Construction」の概要を説明するとともに、その詳細や背景、上記に挙げた関連用語との関連性などについて解説します。
「i-Construction」とは、2016年に国土交通省が建設業にICTの全面的な活用を促すべく提唱した取り組みの名称です。
建設業においてICTを活用することで、生産性の向上や規格の標準化、安全性の向上などを推進することがこの取り組みの主な目的です。
i-Constructionが開始された背景には、以下の5つのポイントがあります。
建設業はバブル崩壊後、需要の低迷により長らく人余りの状況が続き、設備の導入による生産性向上がなされにくい環境にありました。そのため、労働環境が悪く就業者数は減少の一途でしたが、景気が回復し、災害復興・インフラ更新の必要性が増したことから、現在は人手不足が深刻な状況です。
建設需要の高まりによって建設業の経営環境が安定し、日本におけるICT技術が進展したいま、国は建設業にICTを導入することによって、生産性を向上し、現状の打開をはかろうとしているのです。
それでは、「i-Construction」とは具体的にどのような施策なのでしょうか。
取り組みには3つの柱があります。
①ICT技術の全面的な活用(土木)(ICT土工)
②規格の標準化(コンクリート工)
③施工時期の平準化
このなかで、建設業にICTを導入し効率化・高精度化を行う「ICT施工」に関連するのは①の「ICT技術の全面的な活用(土木)」のみです。
②と③はICTには関係がなく、建設現場の生産性を向上するための施策です。
②は、これまで現場で受注生産していたコンクリートについて、規格を標準化することで工場製造に切り替えるなど、生産プロセスの合理化をはかろうとする取り組みです。
③は、これまで年度末などに集中しがちだった行政による発注時期を標準化しようという行政内部での取り組みを指します。
本記事では、i-Constructionの中心施策である「①ICT技術の全面的な活用(土木)(ICT土工)」について解説しています。
国土交通省が推進している「ICTの全面的な活用(土木)(ICT土工)」(以下「ICT土工」)とは、調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新のあらゆる建設生産プロセスにおいてICT技術を全面的に導入することを指します。
ICTを全面的に導入したICT土工は、どのようなものなのでしょうか。具体的にみてみましょう。
【調査・測量】
UAV (ドローン)で撮影いた写真データやレーザースキャナーなどを用いて点群データを得る
【設計】
3次元CADによる設計を行う
【施工】
3次元設計データや位置情報をもとにICT建機を活用し、自動ガイダンスや自動制御を行うことで施工を効率化・高精度化する
【検査】
測位システムやUAV、レーザースキャナーなどで検査することにより、出来形の書類を不要とし、検査項目を半減させる
国土交通省の資料によれば、ICT土工を現場に導入することで、さまざまな効果を得ることが見込まれています。
たとえば、UAVなどを使用した写真測量では、短時間で面的(高密度)な3次元測量を実施することができます。レーザースキャナーを用いた測量においても、短時間で大量の点群データを得ることができます。
設計・施工計画の段階では、3次元測量データ(現況地形)と設計図面の差分を割り出すことによって、施工量(切り土、盛り土量)を自動で算出することが可能です。
3次元設計データや位置情報をICT技術が搭載されたショベルをはじめとする「ICT建機」に送信することで、自動ガイダンスや自動制御を実現し、丁張りなどの工程を省くとともに、高精度の施工を実現することができます。
施工結果については、ドローン等による3次元測量を活用した検査等を実施すれば、出来形の書類が不要となるため、検査項目を半減させることも可能です。
加えて、上記の効率化により施工スケジュールに余裕が生まれれば、測量をしている作業員の横で建機が稼働するような事態も避けることができるため、現場の安全性も向上することが期待されているのです。
国土交通省はi-Constructionの推進により建設現場の生産性を2025年までに20%向上することを目標として掲げています。
生産性を向上させるための手段としては、「工事日数の短縮」と「省人化」の2方向からのアプローチが想定されています。
現場作業の高度化・効率化させることで工事日数を短縮し、ICT土工の導入により中長期的な技能労働者の減少分を補完することで、将来、建設業の就業者数が減った場合でも現在と同じ工事量を実施できることで目標を達成が目指されているのです。
また、2016年にまとめられた報告書「i-Construction ~建設現場の生産性革命~」によれば、i-Constructionの取り組み、生産性を向上させることによって、最終的には建設業において以下の内容を実現することも期待されています。
i-Constructionは、建設業界の大きな課題である人手不足や生産性の低迷を改善すべく始まった新しい取り組みです。
この推進のために、国土交通省は積算基準を見直し、ICT土工に必要な機材導入を経費計上できる制度を設計し、補助金による建機の導入の仕組みをつくり、モデル事例の表彰を行うなど、さまざまな施策を実施しています。
2025年まで業界全体の生産性を20%向上させることは容易ではありません。
だからこそ、行政が強力な旗振り役となることで民間事業者の生産性向上をバックアップしているのです。
民間事業者の大半が自身の知見のみでICT技術の導入を行うことは困難であるため、i-Constructionについては、各地域の地方整備局や民間事業者による講習が行われ、制度の解説や3次元設計データ作成手法やICT建機の操縦講習などが盛んに実施されています。
国を挙げて取り組まれている建設業のICT技術の導入に乗り遅れないためにも、講習や説明会に参加することで情報を収集し、自社のみが課題を積み残す状況にならないよう注意しましょう。
近年、「ICT施工」「ICT土工」など建設現場におけるICT活用に関わるキーワードが話題ですが、「i-Construction」はこれらとどう関係するのでしょうか。
本記事では、「i-Construction」の概要を説明するとともに、その詳細や背景、上記に挙げた関連用語との関連性などについて解説します。
i-Construction(アイコンストラクション)とは
「i-Construction」とは、2016年に国土交通省が建設業にICTの全面的な活用を促すべく提唱した取り組みの名称です。
建設業においてICTを活用することで、生産性の向上や規格の標準化、安全性の向上などを推進することがこの取り組みの主な目的です。
i-Constructionが開始された背景には、以下の5つのポイントがあります。
- 建設業における生産性の低迷
- 建設業における人手不足
- 災害対策とインフラ更新の重要性の高まり
- 建設業における経営環境の安定
- 日本におけるICT技術の普及
建設業はバブル崩壊後、需要の低迷により長らく人余りの状況が続き、設備の導入による生産性向上がなされにくい環境にありました。そのため、労働環境が悪く就業者数は減少の一途でしたが、景気が回復し、災害復興・インフラ更新の必要性が増したことから、現在は人手不足が深刻な状況です。
建設需要の高まりによって建設業の経営環境が安定し、日本におけるICT技術が進展したいま、国は建設業にICTを導入することによって、生産性を向上し、現状の打開をはかろうとしているのです。
i-Constructionの取り組み
それでは、「i-Construction」とは具体的にどのような施策なのでしょうか。
取り組みには3つの柱があります。
①ICT技術の全面的な活用(土木)(ICT土工)
②規格の標準化(コンクリート工)
③施工時期の平準化
このなかで、建設業にICTを導入し効率化・高精度化を行う「ICT施工」に関連するのは①の「ICT技術の全面的な活用(土木)」のみです。
②と③はICTには関係がなく、建設現場の生産性を向上するための施策です。
②は、これまで現場で受注生産していたコンクリートについて、規格を標準化することで工場製造に切り替えるなど、生産プロセスの合理化をはかろうとする取り組みです。
③は、これまで年度末などに集中しがちだった行政による発注時期を標準化しようという行政内部での取り組みを指します。
本記事では、i-Constructionの中心施策である「①ICT技術の全面的な活用(土木)(ICT土工)」について解説しています。
ICT技術の全面的な活用(土木)とは?
国土交通省が推進している「ICTの全面的な活用(土木)(ICT土工)」(以下「ICT土工」)とは、調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新のあらゆる建設生産プロセスにおいてICT技術を全面的に導入することを指します。
ICTを全面的に導入したICT土工は、どのようなものなのでしょうか。具体的にみてみましょう。
【調査・測量】
UAV (ドローン)で撮影いた写真データやレーザースキャナーなどを用いて点群データを得る
【設計】
3次元CADによる設計を行う
【施工】
3次元設計データや位置情報をもとにICT建機を活用し、自動ガイダンスや自動制御を行うことで施工を効率化・高精度化する
【検査】
測位システムやUAV、レーザースキャナーなどで検査することにより、出来形の書類を不要とし、検査項目を半減させる
ICT土工のもたらす効果
国土交通省の資料によれば、ICT土工を現場に導入することで、さまざまな効果を得ることが見込まれています。
たとえば、UAVなどを使用した写真測量では、短時間で面的(高密度)な3次元測量を実施することができます。レーザースキャナーを用いた測量においても、短時間で大量の点群データを得ることができます。
設計・施工計画の段階では、3次元測量データ(現況地形)と設計図面の差分を割り出すことによって、施工量(切り土、盛り土量)を自動で算出することが可能です。
3次元設計データや位置情報をICT技術が搭載されたショベルをはじめとする「ICT建機」に送信することで、自動ガイダンスや自動制御を実現し、丁張りなどの工程を省くとともに、高精度の施工を実現することができます。
施工結果については、ドローン等による3次元測量を活用した検査等を実施すれば、出来形の書類が不要となるため、検査項目を半減させることも可能です。
加えて、上記の効率化により施工スケジュールに余裕が生まれれば、測量をしている作業員の横で建機が稼働するような事態も避けることができるため、現場の安全性も向上することが期待されているのです。
i-Constructionの目指す未来
国土交通省はi-Constructionの推進により建設現場の生産性を2025年までに20%向上することを目標として掲げています。
生産性を向上させるための手段としては、「工事日数の短縮」と「省人化」の2方向からのアプローチが想定されています。
現場作業の高度化・効率化させることで工事日数を短縮し、ICT土工の導入により中長期的な技能労働者の減少分を補完することで、将来、建設業の就業者数が減った場合でも現在と同じ工事量を実施できることで目標を達成が目指されているのです。
また、2016年にまとめられた報告書「i-Construction ~建設現場の生産性革命~」によれば、i-Constructionの取り組み、生産性を向上させることによって、最終的には建設業において以下の内容を実現することも期待されています。
- より創造的な業務への転換
- 賃金水準の向上
- 安全性の向上
- 多様な人材の活躍
- 地方創生への貢献
- 希望がもてる新たな建設現場の実現(3Kからの脱却)
- 広報戦略(若者や女性、高齢者など、多くの方々に目指してもらえる建設産業に)
i-Construction で未来は変わるか
i-Constructionは、建設業界の大きな課題である人手不足や生産性の低迷を改善すべく始まった新しい取り組みです。
この推進のために、国土交通省は積算基準を見直し、ICT土工に必要な機材導入を経費計上できる制度を設計し、補助金による建機の導入の仕組みをつくり、モデル事例の表彰を行うなど、さまざまな施策を実施しています。
2025年まで業界全体の生産性を20%向上させることは容易ではありません。
だからこそ、行政が強力な旗振り役となることで民間事業者の生産性向上をバックアップしているのです。
民間事業者の大半が自身の知見のみでICT技術の導入を行うことは困難であるため、i-Constructionについては、各地域の地方整備局や民間事業者による講習が行われ、制度の解説や3次元設計データ作成手法やICT建機の操縦講習などが盛んに実施されています。
国を挙げて取り組まれている建設業のICT技術の導入に乗り遅れないためにも、講習や説明会に参加することで情報を収集し、自社のみが課題を積み残す状況にならないよう注意しましょう。
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